ISBN | 978-4-87571-894-9 |
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書籍コード | 894 |
判型 | 46判 並製 |
頁数 | 204 |
定価 | 2,420円(税込) |
刊行年 | 2023年10月30日 |
● 新 刊 ●
バンヴィルは同時代の英語文学を代表する小説家であり、毎年ノーベル文学賞の候補に挙げられるなど高い定評を得る。稀代の読書家、書評家でもあり、その読書範囲は驚くほど広く、文学だけでなく思想や美術や文化史の領域にも及ぶ。
本書は、彼の重厚な知的世界を構成する古典9冊―プラトン『国家』からサイファー『ルネサンス様式の四段階』まで―の短い解説を収め、バンヴィルの知の系譜と創作の方法を解説する。バンヴィルはなにを読み、過去の著作からどんな世界観をとり込んだか。それは彼の意識のなかでどう変容し、彼の文学世界を構成するか。古典と彼の創作の関係に光をあて、同時代文学の前線で起きていることを報告する。シェイクスピア、ルイス・キャロル、T・S・エリオット、ジェイムズ・ジョイス、サミュエル・ベケットなどの文学の影響を論じ、また、ニーチェ、フロイト、スタイナー、ハイデガーなどバンヴィルの思想の系譜を語り、バンヴィルの小説の解釈をめぐって議論を縦横に展開する。領域横断の知と新しい批評の形式を模索する著者の同時代文学論であり、日本語で書かれた最初の本格的なバンヴィル論である。全9章。
目 次
バンヴィル主要著作一覧
序論―バンヴィルの創作と文学理論
1バンヴィルの美学と言語―『ジョン・バンヴィルとの対話』
本棚1 オグデン/リチャーズ『意味の意味』
2監獄の視点―『事実の供述書』
本棚2 ニーチェ「道徳外の意味における真実と虚偽について」
3バンヴィルの演劇の比喩―『亡霊たち』
本棚3 シェイクスピア『テンペスト』
4迷宮としての世界―『アテーナ』
本棚4 フロイト「不気味なもの」
5非現実の都市―『プラハの映像』
本棚5 エリオット『荒地』
6鏡のなかの劇場―『日食』
本棚6 キャロル『鏡の国のアリス』
7動く視点―『海』
本棚7 サイファー『ルネサンス様式の四段階』
8影を模倣する芸術―『遠い過去の光』
本棚8 プラトン『国家』
9世界は記憶のなかに―『青いギター』
本棚9 スタイナー『ハイデガー』
あとがき
索引