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語られぬ他者の声を聴く――イギリス小説にみる〈平和〉を探し求める言葉たち
市川 薫 編著

「小説」という文学ジャンルはかけがえのない個人の経験を語ることを旨とするが、その個人を圧殺・消去してしまいかねない「戦争」という事象とどのように向き合ってきたのだろうか。本書は主として20世紀以降のイギリス小説に着目し、そこにみられる「戦争」あるいは「平和」をめぐる名状しがたい言葉を探る論考を集めたものである。英米SF小説の端緒から20世紀を代表するV.ウルフやG.オーウェル、そして21世紀の今、精力的な活動をしているM.アトウッド、P.バーカー、R.フラナガンにいたる10人に及ぶ作家・詩人が取り上げられている。

ISBN 978-4-87571-887-1
判 型 A5判 並製
頁数 352ページ
定 価 3,300円(税込)
刊行年 2021年3月



目次

はじめに    市川 薫・津久井良充

 巻頭論文 フランクリン博士の子どもたち
    ――フランケンシュタイン、テスラ、そしてガーンズバック 巽 孝之 石塚浩之訳

第Ⅰ部 語られぬ他者の声を聴く

  1章 パット・バーカー『ドアの目』論
    ――得体のしれない恐怖という記憶  市川 薫
  2章 生命科学と資本主義の協同、あるいは現代のディストピア
    ――マーガレット・アトウッド『オリクスとクレイク』における語り
       /フィクション/共同幻想  岩井 学
  3章 W・B・イェイツ「一九一六年復活祭」再読
    ――「わかりにくさ」の意義  伊達恵理

第Ⅱ部 〈物語〉は言葉となる日を待つ
 
  4章 記憶の庭と戦時の庭
    ――ヴァージニア・ウルフの『幕間』を中心に  森田由利子
  5章「等価交換」で読み解くロアルド・ダール
    ――散りばめられた理不尽な天秤  武井博美
  6章 戦争文学と「人間をまもる読書」
    ――文化批判として読むリチャード・フラナガンの『奥のほそ道』  一谷智子

第Ⅲ部 交感する過去と現在
 
  7章 やり遂げることのできない戦争の、その先にあるもの
    ――H・G・ウェルズ『ブリトリング氏、やり遂げる』を読む  遠藤利昌
  8章 G・オーウェル『一九八四年』を四度、読み直す
    ――ポスト・トゥルースの時代にあって真実を見つめる  岩上はる子
  9章 芸術的可能性としての「神話」  矢原繁長

巻末エッセイ 人間の時間を取り戻す試み
    ――自伝/伝記文学の可能性  早川敦子

 あとがき  市川 薫

 写真・図版出典一覧
 執筆者紹介

 カバー装丁・扉  矢原繁長