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ジョイス・キャロル・オーツのアメリカ――家族、女性、性、黒人問題から読み解く
吉岡葉子 著

「アメリカの作家」を自認するジョイス・キャロル・オーツは、変化し続けるアメリカの暗い諸相を追ってきた。北部の過疎地に生まれ、貧しいハンガリー移民の家庭で育ったオーツが鋭く描くアメリカは、今まで描かれたことがなかった、もう一つのアメリカである。本書で取り上げている作品の背景には、大恐慌後の家族崩壊、デトロイト暴動、経済繁栄と道徳的堕落、黒人差別、性差別・性暴力、アメリカの女性神話などがある。オーツの文学の神髄は、社会的経済的弱者である個人がその窮状を生き延び、出口を見つけ、目覚め、自己回復にたどり着くまでの過程を偽らず、恐れずに描き切ることにある。本書はこの点を読み解くことに重きを置いている。未来を見据える先見性と慧眼をもって、オーツは社会や時代が常に生み出す脅威の中にあって生きる意味を肯定し、民族の融和のあり方についても真摯に提言している。アメリカの実像を知る上で、また二十一世紀の世界的に先の見えない不透明な時代を個人が生き抜くための指針として、もっと読まれてしかるべき作家である。

ISBN 978-4-87571-886-4
判 型 46判 上製
頁数 396ページ
定 価 3,300円(税込)
刊行年 2021年3月



目次

はしがき

1章『堕落に打ち震えて』
    ―オーツ文学の萌芽
2章『北門の傍らで』「大洪水の中で」
     ―現代の蛮地としての「エデン郡」/大恐慌後の家族崩壊
3章『悦楽の園』「田園の血」「私はいかにしてデトロイト矯正院から世の中を考え再出発したか」
     ―女主人公たちのアメリカの物質崇拝への欲望と拒絶の視点から
4章『かれら』
    ―デトロイト暴動を背景にした「生き残り」の三形態
5章『マーヤ――ある人生』
     ―自伝的作品として読む
6章『これだけは覚えていてほしい』
     ―一九五〇年代のアメリカの家族像
7章『密会』
     ―一九八〇年代後半のアメリカの家族再考を反映した、新たな家族像と人間群像
8章『苦いから、私の心臓だからこそ』
     ―白人と黒人の「魂の友」を希求して
9章『扉を閉ざして』
     ―アイリスの修正としてのキャラ/「魂の友」の成就
10章『ブラックウォーター』
     ―アメリカの女性神話の悲劇
11章『生きる意味』
     ―アイルランド系アメリカ人の生き方、ペルソナからパーソナリティへ
付録 公民権運動と南部女性文学
     ―人種と性のせめぎあい
 
註・引用文献・参考文献一覧
書誌
ジョイス・キャロル・オーツの著作
略歴
あとがきJ・C・オーツ雑感
索引